唐突ですが、墓地(霊園)が好きです。とはいっても、怪談マニアでも墓石フェチでもありません。墓地の持つ空気感というか静かな環境と緑の多さが気に入っているのだと思います。
墓参には、毎月1回行きます。夏場の6~8月は2回、ご先祖様の供養はもちろんありますが、一番の目的は除草と清掃。夏場は、それこそ1週間であっという間に雑草がはびこります。
こうなったきっかけは、父の死後。しばらく訪れていなかった墓地の敷地内は、セイタカアワダチソウが大量発生しており、背丈も伸びて墓石が見えなくなるほどでした。この光景にしばし唖然。その場で思い立って除草作業をすることに。しっかり根を張った草を抜くときに降りかかる土埃で手足があっという間に土埃まみれ。夏場ということもあり、想定していなかった状況に、全身汗だく。たまたま持っていたタオル1枚は、あっという間に汗を絞れるほどでした。これがきっかけで毎月1回の墓参が習慣となった次第。もうかれこれ15年以上は続いています。
ところで、墓地はよく怪談の舞台になったりしますが、ちょっと奇妙なお話をしましょう。
過日、BSで「業界怪談~中の人だけ知っている~」という番組を観ました。人一倍怖がりでビビリな私ですが、怖いもの見たさとでもいうのでしょうか、つい見入ってしまいました。世の中にある、さまざまな業界で語り継がれる怖い話と、その業界で実際に働いている方々が一堂に集まり、自身の経験を再現ドラマで語るというものです。なかでも、いわゆる事故物件に関係する清掃業は、寒気が走りました。思い出しただけでも怖いのでここでは触れません。



季節は覚えていないのですが、冬ではなかった気がします。
いつものように腰を落として除草作業をしているとき、墓石に向かって左側よりゆっくり誰かが歩いてきます。男性です。年齢は不明ですが、あまり若い人ではないような。歩きはゆっくりです。注意して見ていたわけではないため顔はよく分かりません。
墓石の後ろは、やや広めの舗装された道です。写真で見るように写真奥の方から歩いてきました。ご覧のように敷地内は植栽がありますこの植栽のためか人の姿はよく見えません。しかし、確かに歩いてきています。で、身体の一部が植栽の間から見え隠れして、ちょうど真後ろあたりにかかったときに、立ち止まった気配がしたのです。そのまま作業を続けましたが墓石に向かって右側に歩いていく人の姿がわずかに見えるはずです。しかし、誰も通り過ぎません。「あれっ」と思い、植栽の間を通り抜け道路に出ましたが、誰一人いません。道路の反対側には墓石が並んでいますが、どこにも人の姿はありません。右を見ても左を見ても人の姿はまったありません。直線道路ですから、誰かが歩いていればすぐに分かります。
このとき急に寒気が走りました。あれは誰だったのか・・・
そしてすぐ、あれはもしかして亡くなった父ではないか。そう考えたら、なんだか急に怖さは引いていきました。その後、同じような経験はしていません。とても不思議な、ちょっと怖い体験でした。
皆さんは、どんな怖い体験がありますか? 本当はこのほかにも金縛りに関する怖い体験、山での不思議な体験があるのですが、書いてしまうとまた同じ目に遭うような気がして書くのを止めました。(小島)
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