突然ですが、皆さんは「青木まり子現象」なるものをご存知でしょうか。「本屋に行くとなぜかトイレに行きたくなる……」と感じたことはありませんか? 本屋で、なぜかトイレに行きたくなるという人は少なくないそうです。この「現象」知ったのはずいぶん後になってからですが、思い当たるふしがあります。
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もうずいぶん昔のことになりますが、高校時代、通学に池袋駅で乗り換えていましたが、帰宅時に百貨店の10階にある大型書店に立ち寄るのが常となっていました。当時は、文庫本や単行本棚をメインに、フロア全部を一通り歩き回っていました。入店してしばらくすると、なぜか急にトイレに行きたくなります。割合としては10回のうち8回は感じていたでしょうか。しかし、本屋を出るとまったくトイレに行きたいという感じがなくなっています。とても不思議でした。これは、大学に進学しても変わらず、同じく池袋駅での乗り換えがあったため同じ書店に立ち寄ることも多く、同じように便意(尿意)を感じていました。試しに他の大型書店にも立ち寄ってみましたが、まったく同じでした。

調べてみたところ、そこには『青木まりこさん(※ペンネーム)が1985年に発行された雑誌『本の雑誌 40号』(本の雑誌社)にて“本屋へ行くと便意を催す”という趣旨の内容を投稿したことから「青木まりこ現象」と呼ばれるようになりました』とありました。

こうなると、その原因が知りたくなります。近畿大学名誉教授・野村正人さんによれば「本当に本屋に行くと便意を催すのかどうかを調べるため、図書館で20~60代の各世代の男女20名にアンケートを取りました。すると、およそ7割の人が「経験がある」と回答。そして、図書館には机や本棚が多く、本や壁にも接着剤が使われていることから、さまざまなにおいが充満していることが関係していると考えました。そこで、実際に図書館の空気を分析するために、5~6月にかけて毎日朝5時から空気中の成分を吸着させる装置を使い、1か月後、吸着したものを有機溶媒で抽出して成分を分析。調査の結果、新建材や本の装丁に使われている化学物質が原因と考えられることが判明。抽出した成分をマウスに投与したところ排便の回数や量が増加していたため、生理学的に匂いによって本屋でトイレに行きたくなる傾向があることが分かった。ただ、匂いは独特なものではなく気付かない程度のため、知らないうちに作用している」とのことでした。

私は専門家ではないためよく分かりませんが、「本の装丁に使われている化学物質が原因と考えられることが判明」には、なんとなく納得した覚えがります。私だけなのかもしれませんが、書店には独特の匂いというか空気を感じるのです。製本には接着剤が不可欠ですから、この匂いが関係していると考えたのかもしれません。今でこそ書店に立ち寄る機会は減りましたが、やはりときおり感じます。

この「現象」は、書店だけに限らず、今も感じることがあります。それは、通勤の際に、ある場所に来るとトイレに行きたくなるというものです。行きは乗換駅であるJR御徒町駅。ここからコンビニに立ち寄るとき。そして、大江戸線「上野御徒町駅」のホームで電車を待っているときです。加えて森下駅から院までのわずかな距離。3か所すべてではないですが、必ずどこかで1回トイレにいきたくなります。

帰路は、自宅最寄り駅から歩いて、自宅まであと数十メートルというときです。これも必ず感じます。帰宅するとまず最初にトイレに入りますが、いずれも感じた便意または尿意に反して、出る量がごくわずかなのです。そんなとき、急に思い出したのが「青木まり子現象」だったのです。

いろいろ調べましたが、どうも決定打がありません。ということもあり、一種の「都市伝説」化している感があります。症状があるのですから何かしら原因はあるはずですが・・・ 皆さんはどうでしょうか?(小島)